中部地方でよく食べられる「ざざむし」、「蜂の子」とどう違う?

長野県の伊奈谷地域で蜂の子と同様に、高級珍味としてよく食べられているのが「ざざむし」です。
蜂の子と同じく昆虫の幼虫 ではありますが、ざざむしは川の中に住む水生昆虫の幼虫です。
長野県の伊那谷地域では天竜川に住むざざむしをよく食用にしています。

他の地域ではあまり聞き慣れない名前の昆虫ですが、どのような昆虫なのか、また蜂の子とはどう違うのかなどをご紹介します。

ざざむしと呼ばれるのは、主にヒゲナガカワトビケラ

ざざむしをとる「ざざむし漁」では、川底の石をクワや足でかき回し、川底に住んでいる水生昆虫が流れてきたところを網で集めてとります。
この漁でとれる水生昆虫の総称をざざむしと呼びます。

その中の 多くを占めているのが、ヒゲナガカワトビケラと呼ばれる水生昆虫の幼虫です。

ヒゲナガカワトビケラの幼虫は、口から吐く 糸で川底の石と石との間に網をはり、上流から流れてきた藻類を網にかけて食料にしています。
藻類にはアオコと呼ばれる、川を汚す原因となる藻も含まれており、ヒゲナガカワトビケラの幼虫は食用としてだけでなく、川をきれいにしてくれる幼虫としても知られています。

水生昆虫ざざむしは海藻の味がする

食用としてよく食べられている蜂の子はタンパク質と脂質を多く含むため、白子や卵焼き、ナッツのような味によく例えられます。
一方で水生昆虫であり、藻類をよく食べるざざむしは海藻のような味だと例えられることがあります。

しかしざざむしは佃煮にされることが多く、ざざむし漁が行われる12月から2月にかけては、ざざむしが餌を食べない時期であり、脂が一番のる時期でもあります。
そのためざざむしの佃煮は、実際に食べてみると甘辛さや、ほんのりとした苦味しか感じません。

川がきれいなほど、ざざむしの味は良くなる

現在ざざむし漁が行われている天竜川の一部流域は、清流が合流する流域で天竜川が一番きれいになる場所だと言われています。

ざざむしは川から流れてきた藻類や汚れを食べているため、きれいな川に住むほど味が良くなると言われています。
そのためざざむし漁はざざむしが一番おいしくなる、きれいな流域でのみ行っています。

ざざむしは蜂の子と並ぶ、高級珍味

クロスズメバチの蜂の子は家庭で食べる分程度なら十分な量を捕獲することができます。
しかし大量に採集できる虫ではないため、市販品の缶詰や瓶詰などは比較的高価で、高級珍味として取り扱われています。

ざざむしにも市販品はありますが、ざざむし自体の需要が少なく、また漁を行える時期も冬期だけと限られていることから流通量が少なく、蜂の子と同じように高級品として扱われています。

蜂の子と違い、調理に手間がかかる?

蜂の子とざざむしのもうひとつの違いは、調理の手間の多さです。
蜂の子は生でも食べられるほど臭みや雑味が少ないのに対し、ざざむしは煮ると独特な虫臭さが漂います。
そのため調理する場合は一度ゆでこぼしてからもみ洗いしたり、何度も水で洗ったりなど、下処理に手間がかかります。

下ごしらえした後の調理は蜂の子と同様ですが、この調理にかかる手間もざざむしの需要を少なくし、市販品が高価になる一因となっているようです。

ざざむしは蜂の子やイナゴに次いで、信州名物のお土産として人気のある高級珍味です。
しかし希少性や入手のしやすさでいえば蜂の子よりも、さらに入手しにくく、希少性が高いです。
巡り合える機会は少ないですが、ぜひ運よく入手できたら味の違いを確かめてみてください。

【参考文献】
蜂の子の栄養素 http://osis.crap.jp/02.html
蜂の子とザザムシの違い http://usakara.giv.jp/insects.html