古くから食用にされてきた、クロスズメバチの蜂の子

クロスズメバチの蜂の子は、食用にされている蜂の子の中で最もポピュラーな昆虫です。
食用として利用さるクロスズメバチの生息場所や採集方法、栄養などについてご紹介いたします。

クロスズメバチについて

食用にされるクロスズメバチは、約1.5cmの体長をもつ黒色のスズメバチで、日本や朝鮮半島、アジア大陸の一部に生息しています。

クロスズメバチはモグラやネズミがあけた廃道、自然にできた空洞や土中に巣をつくる習性があります。
土手や山林など比較的人家から離れた場所に巣をつくることから、他のスズメバチよりも駆除対象にされにくいです。

クロスズメバチは一年生のライフサイクルをもつ昆虫で、春に女王バチが巣作りを始め、徐々に働き蜂を増やしていき、秋には巣が最大になります。
秋の終わりから初冬に、来年の新女王バチと雄蜂が巣立ってサイクルが終わります。

そのためクロスズメバチの蜂の子が出回る時期も秋が多く、蜂の子をとるための採集活動も秋にピークを迎えます。

採集だけでなく、飼い巣も行われている

クロスズメバチの蜂の子は、野生の蜂の子を採集するだけでなく、飼い巣という、春の始めにできた野生の巣をとってきて、自宅で巣を大きく育てる取り組みも古くから行われています。

飼い巣は、採集したクロスズメバチの野生の巣を木箱や樽に入れ、中に砂やもみ殻を敷き、女王バチと働き蜂を入れて巣を大きくさせます。
巣は、大きくなる秋頃までの約半年間人間の手で管理されます。 新女王バチを越冬させる場合は約11カ月かけることもあります。

野生の巣を毎年採集するのではなく、飼い巣から生まれた新女王バチを越冬させられれば、野生のクロスズメバチの数を減らすことなく、持続的にクロスズメバチの蜂の子を入手することができます。
ただしこの飼い巣の手法は後継者不足により、将来的な存続が危ぶまれています 。

クロスズメバチの蜂の子の栄養について

クロスズメバチの蜂の子には約15~16%、タンパク質が含まれています。
タンパク質は蛹、成虫へと成長するにつれ徐々に少なくなり、代わりに繊維質が増えていきます。

還元糖も約2~3%程度含まれており、ミツバチの蜂の子ほどではありませんが、食べると甘みも感じられます。

またミツバチの蜂の子は成長するにしたがって脂質が少なくなりますが、クロスズメバチの蜂の子は成長するにしたがって脂質が増える傾向があります。
そのためクロスズメバチの蜂の子は幼虫、蛹、成虫を一緒に混ぜて食べられることが多いです。

クロスズメバチの蜂の子のアミノ酸

クロスズメバチの蜂の子に含まれるアミノ酸で、最も多いのはグルタミン酸です。
次いでアスパラギン酸、グリシン、ロイシンも豊富に含まれています。
グルタミン酸とアスパラギン酸はうま味成分としてもよく知られるアミノ酸で、グリシンはコラーゲンに多く含まれるアミノ酸です。
ロイシンは必須アミノ酸のひとつです。

またクロスズメバチの蛹には、コラーゲン修復力をもつプロリンというアミノ酸がグルタミン酸と同程度含まれています。
成虫はアミノ酸量が幼虫や蛹よりも格段に多く、グルタミン酸だけでなくアラニンやグリシン、プロリンが豊富です。

クロスズメバチの蜂の子のビタミン

蜂の子のビタミンA量は幼虫の頃が最も多く、蛹、成虫と成長を進めるにつれて少なくなります。
ビタミンB1は幼虫、成虫ほぼ同程度ですが、蛹がやや多く、ビタミンB2は成長が進むにつれて増え、成虫になると最も多くなります。
また蜂の子にはナイアシンも多く、ほかにもビタミンB6、B12とビタミンB群がバランス良く含まれています。

クロスズメバチの蜂の子は食用として最も多く出回っていますが、採集する人たちの後継者不足が心配されています。
中部地方の食文化を担ってきた栄養豊富な蜂の子を、ぜひ食べられる間に一度味わってみてください。
【参考文献】
蜂の子に期待できる効果 http://hisatomi.tank.jp/tinnitus.html